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やっかいな新燃岳の灰

2017年10月12日
 霧島登山のルートとしては一般的ではないが、高原町・皇子原公園の先から矢岳・龍王山を越えて、新燃岳との谷間に下りるコースがある。谷間はミヤマキリシマの穴場だ。

 全国でも大変珍しい炭化木が観察できる場所でもある。火砕流に包まれた立ち木が燃える間もなく、炭化してしまった現象。地下に埋もれているが谷沿いのあちこちで黒く露出しており、触ると指先が炭で黒くなる。逃げる間もないという火砕流の恐怖を感じた。

 炭化木は1716~17年の新燃岳噴火でできた。町史では「享保の大炎上」として「噴き出す溶岩は火柱のように立ち上がり、そのすさまじさは火の地獄を見るようだった」と記す。死者が多数出て人家の焼失、農業の被害も甚大だった。

 2011年にも噴火が相次いで県内経済を混乱させた新燃岳が再び活動を活発化させて、周辺住民を不安に陥れている。すでにかなりの降灰があり、刈り取り期を迎えた米をはじめ農作物への影響が心配される。灰は折からの西風に乗って広く県内に舞いそうだ。

 案外知られていないが、降灰は施設園芸のビニールハウスに及ぼす影響も大きい。火山灰特有の硫黄分などが化学変化を起こし、ビニールを劣化させる。火山灰は先端がとがっていて付着しやすく、洗っても落ちにくいからやっかいだ。

 今後の火山活動の予測は難しい。火口にふたができない以上、天災として降灰被害には行政が十分対応をしてほしい。火砕流の恐ろしさをはじめ防災意識は11年の被害で高まったが、予測が難しいのは人の心も同様。啓発活動も怠りなく。

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