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選ばれることの苦労

2017年10月9日
 膨大な応募作品から入選しただけでも高いレベルなのだが、どうしても鑑賞が特選と奨励賞の作品が中心になってしまう。県立美術館で開催している第69回宮日総合美術展。

 7部門に計456点を展示。すべてを丁寧に見るには時間的にも体力的にも限界がある。鑑賞に訪れる前に、本紙に載る審査員の受賞作品講評を参考にする人は多いだろう。特選は2面で連載中だ。入選や受賞をめぐって、今年も悲喜こもごものドラマがあった。

 入賞した作品は訴える力が抜きん出ているように見える。賞の権威に押されてそう見えると言われればそうかもしれないが、審査員の判断基準にぶれはない。残念な結果になった人も講評を参考にして来年もプロの判断を仰いでほしい。

 以前、ある部門で初出品から2年続けて特選を取った知人がいて、その心境を県内の同人誌にペンネームでつづっている。1度目は周囲から「おめでとう」「才能があるね」などのお祝いに混じって「悪くないけど」「どこがいいの」などやっかみもあったという。

 本人も「まぐれ」と思った。だが連続の特選で、さらに厳しい風当たりに直面。前回とは審査員が変わっており、審査員との相性がよかったという説も崩れた。自分でも「どうして?」「本当に才能があるのか」という気持ちが交錯する。

 「申し訳なく、手放しで喜べない」。といってあまりに卑下すると審査員に失礼になる。「うれしそうな顔をして頭を下げるよりほかはない」次第になったとか。選ばれることの喜びと苦労。鑑賞者の視線が作家をさらに鍛えるのだろう。

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