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トップ突然の不在

2017年10月7日
 強烈な指導力を持つボスが頂点に立ち、同心円的に群れを統率する-。ニホンザルの社会構造は複雑に考えられていたが、最近の研究では意外に単純な原理に基づくという。

 「勝ち負けがはっきりしている世界で、弱い者は強い者に道を譲るというルールの中で生きている」。霊長類学の権威で京都大総長の山極寿一さんは生物学者福岡伸一さんとの対談(文芸春秋2014年11月号)で力が支配するニホンザルの社会を説明している。

 絶対的な力関係で地位が変わるのに対し、ゴリラは「ボス型ではなくリーダー型。いったんリーダーになると地位を追われることがない」と山極さん。ただし貢ぎ物を独占してはいけない。「平等に再分配するのがリーダーの務め」だ。

 串間市・幸島のボスザル「ケイ」はどこをさまよっているのだろう。陸続きになった本土に渡ったものの、台風の影響で再び島と本土が遮断されて、ケイは本土に残された可能性がある。ナンバー2だったシカが今は暫定ボスに就くが、今後も波乱がありそうだ。

 ボスザルの跡目相続に例えるのは失礼とは重々承知しているが、突然のトップの不在で、同様に目が離せないのがあす投開票される串間市長選だ。通算3期目の市長が病気を理由に任期途中で辞職したことに伴って実施。3新人が立つ。

 人間は腕力ではなく理念や政治姿勢を競い、民主的に選ぶ。山極さんは「人間の子供がゴリラやチンパンジーの子供と一番違うのは『憧れ』を持つことです」という。憧れを持てる串間を残すために、1票を投じるのは人間の大人の責任だ。

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