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古代王朝の夏

2017年9月9日
 夏と書き、日本語では「か」と読む中国の伝説的王朝があった。始祖禹(う)が舜の禅譲を受けて王位につき470年余り続いたが第十七代桀王の時、殷の湯王によって滅ぼされた。

 春夏秋冬のひとつでもっとも暑い時季を表すこの字には、物事が大きく盛んなという意味があって、おもしろいことに英語でも〈イッツ ザ サマー オブ ヒズ ライフ〉と言うと「彼の一生で一番盛りの時である」となる(秋澤公二著「アメリカ人の英語」)。

 古代中国の人が、国名を夏としたのはおそらく国の繁栄を願ってのことだろう。夏休みのたっぷりとれる欧米はともかくお盆を挟んで数日の休みしかとれない日本人、特に外回りの営業職や現場で働く人にはつらい暑さが和らぎ始めた。

 暑かった夏を振り返って炎と熱の字が絡むふたつのニュースを。フランスを代表する女優で「突然炎のごとく」に出演したジャンヌ・モローさんがパリの自宅で亡くなった。89歳だった。家を訪れた家政婦が倒れているモローさんを見つけたという。死因は不明。

 熱中症による県内の救急搬送者が7月は413人に上り、昨年同月より100人以上も多かった。特徴的なことは室内で発症、119番通報されたケースが目立った点だ。県は、暑さを我慢した高齢者が多かったのでは、と分析している。

 一方、心胆寒からしめる事件のトップは北朝鮮ミサイルの日本列島上空通過と水爆の可能性を否定できない核実験だろうが、貴重な資源を浪費し狭い国土を核の放射性物質で汚す国に夏の繁栄は望めまい。凍り付くような冬が待つのみだ。

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