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人々を見守る山々

2017年8月11日
 「そこに山があるから」。マロリー卿は「なぜ山に登るのか」と問われて答えた。深い意味があるような名答だが、個人的には「DNAに組み込まれているから」と答えたい。

 人の祖先はジャングルの木の上で過ごしていたという。だが平原に下りてからは猛獣や他の部族の脅威にさらされる。いち早く外敵を察知し、地の利を得るために高所を探した-。山好きの私見。高い所が好きと言うと、周囲からは「やはり」とからかわれるが。

 ともかく、宮崎平野から北西に美しい円すい形の山が見える。大森岳(1109メートル)だ。山容が立派なので、時々写真コンクールなどで高千穂峰と勘違いしている人もいる。毎日見ていると、てっぺんに立ちたいDNAがうずいてきた。

 案外同じDNAを有する人はいるもので、3人ほど連れだって小林市側から挑む機会を得た。裏から見てもきれいな三角だ。稜線に沿う登山道はよく整備されていて、木々の間から霧島が見えてくる。登っていくと、サルノコシカケがびっしり付いた木があった。

 頂上に着くと、そこにも巨大なサルノコシカケが-。それはちょっとオーバーな冗談で、実はパラボラアンテナがたくさん付いた鉄塔。管理棟から人が出てきたので仰天した。県の防災行政無線中継局。ほとんど毎日点検に来るそうだ。

 県内には鰐塚山、天包山など15カ所に同じ施設がある。大昔、人々を危難から救った山々は、今も見えない場所から人々を災害から守る役目を果たしている。山に頼るDNAは生きている、などと自説に満足しながら下山。今日は山の日。

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