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何を読んでいるか言ってごらん

2017年8月2日
 「何を読んでいるか言ってごらん。そうすれば君がどんな人間か当ててあげよう」。1952年ノーベル文学賞を受賞したフランソワ・モーリヤックのよく知られた名言だ。

 子どもたちに読書を習慣づけさせ、考える力や作文力を養う目的で毎年、実施している「宮崎県小学生読書感想文コンクール」(宮崎日日新聞社主催)の選定図書は36点。数冊に目を通したが「昔話法廷」(金の星社)には一ページ目から本の世界へ引き込まれた。

 裁判員裁判の法廷で裁かれる被告人は「三匹のこぶた」の末っ子、カチカチ山のウサギ、「白雪姫」の王妃という昔話の登場人物たち。絶対無罪の先入観が覆されたり、その逆もあったりで裁判を理解するための手引書にもなっている。

 なぜ死んだオオカミの家のカレンダーに「3時。豚肉パーティー トン三郎の家」という書き込みが残されていたのか。こぶたの家のテーブル上に「オオカミのただしいころし方」という本があったというオオカミの母親の証言に果たして信ぴょう性はあるのか。

 裁判員のひとりか、こぶたの末っ子かオオカミの母親になったつもりで読むとおもしろさが何倍にもなるだろう。コンクールの担当者によると厳選された選定図書のなかには大人が読んでも思わずうるっとしてしまう本も含まれている。

 読書感想文は苦手という子も夏休みに一冊はしっかり読んで、書くことに挑戦してほしい。モーリヤックがその本の背表紙を見たら、こう言うはずだ。「あなたは心豊かな子だね。そしてきっと知的で思いやりのある大人にもなるだろう」

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