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お母さんのいねむり

2017年7月16日
 「あれから……」と題された一編の詩がある。作ったのは青森県の小学3年生(当時)谷澤憲司さん。江口季好編著「子どもの詩 えんぴつでおしゃべり」に収録されている。

 お父さんは去年じこでしんでしまった/あれから四百六十一日/お母さんは車めんきょをとりました。コンピューター会社のそうじをするお母さん/朝早く起きてヤクルトやジョアやミルミルをバイクで配たつするお母さん/お母さんがいねむりをしていました。

 弊紙1面のシリーズ「みやざき考福論」がきのう、「ひとり親の困窮」について書いていた。小学4年生の長男と暮らす30代女性は契約社員として4年間働いてきたけれど収入は毎月10万円に届くかどうか。契約は半年ごとの更新だった。

 このため仕事がいつなくなるか分からない不安を抱えていたが生活費の支給を受けながら学校に通える高等職業訓練促進給付金という制度を使って専門学校で2年間学び、今春から保育士として働く。やりがいもあって収入も増え、暮らし向きも安定したという。

 希望が見いだせるケースだが全体を見渡せばひとり親世帯の現実はきびしい。とりわけ収入の確保が大きな課題。県調査によると母子世帯の場合は月収15万円に満たない世帯が6割を占め、パート、アルバイトに頼る家庭は4割に上る。

 「えんぴつでおしゃべり」の発行は18年前。疲れてうとうとする母さんを見つめた谷澤少年のような子は今もたくさんいる。就労や生活支援の輪をもっと厚くしたい。頑張り屋の母さんたちが居眠りせずにすむ「これから」にするためだ。

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