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ウソッパチ

2017年7月12日
 自衛隊には関係者の間だけで通用する用語がある。隊員がかぶるヘルメットは通称テッパチだ。旧軍時代のものは鉄製で鉢に似ていたため、そう呼ばれるようになったとか。

 現在の88式鉄帽は最新素材で軽量化されているがそれなりに重い。そこで疲労軽減を目的としたそっくりな形のプラスチック製レプリカが演習用グッズとして販売されたことがあったそうだ。偽鉄帽だからテッパチ転じてウソッパチと呼ばれた(宝島社「自衛隊」)。

 森友学園への国有地格安払い下げに絡む疑惑、官邸関与の有無をめぐって衆参両院で閉会中審査があった加計学園の獣医学部新設に関する問題のほか、所属議員の暴言暴行も明らかになり、国会内外で火消しに追われる安倍政権である。

 問題のうえに問題が折り重なっていく。昨今のあわただしい様相に思考回路の切り替えが追いつかず、うっかり記憶を上書きして前の問題を忘れてしまいそうだが、そもそも政権屋台骨が揺らぐきっかけになったのは防衛相のウソッパチに等しい詭弁(きべん)答弁だった。

 南スーダンPKOで、陸上自衛隊の現地部隊が日報に、駐留している首都ジュバの状況について大規模な「戦闘」が起きて、危険なことを記載していたのに、参加5原則に抵触するため戦闘という言葉を使わずに武力衝突と言い繕った。

 偽鉄帽のウソッパチは安全面が問題視されて姿を消した。内閣改造が近い。森友問題の国会答弁でもうそをついた防衛相交代は当然だろうが、都議選演説で捨て鉢のような発言をした首相本人も心を入れ替えないと支持率回復は望めまい。

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