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伝言ゲーム

2017年6月19日
 たぶん最初に体験したのは修学旅行のバスの中だった。伝言ゲーム。あるメッセージを覚えた最前列の者が後ろの席に耳打ちして伝える。そういう具合に最後列まで伝える。

 最後列がメッセージを発表すると、短くて簡単な内容でも最初とは大きく変わっていて爆笑の渦となる。正確に覚えて伝えているつもりでも、伝聞が繰り返されると情報が大きく変容することに驚く。同時にデマやうわさの怖さを認識するのがこのゲームの肝だ。

 加計(かけ)学園をめぐる問題で、獣医学部の早期開学について「総理のご意向」「官邸の最高レベル」と書かれた文書が文科省の再調査で確認された。だが政府は伝言ゲームに見られる情報伝達のあやふやさを理由に追及を逃れる構えのようだ。

 特区担当の山本幸三地方創生担当相によると、最初のメッセージは「(安倍)総理は常々、スピード感を持って実現すべきという旨の発言をしている」。それが関係省庁間や事務方の間で伝達されるうちに「ご意向」といった誤った内容に変わったという筋書きだ。

 もしそうだとしても、全く笑えない伝言ゲームだ。予想外の展開とは違って、加計学園にとってあまりにも都合のいい書き換えとなっている。森友学園問題の時に指摘されたような、お役人特有の忖度(そんたく)が織り込み済みの伝言ではないか。

 政府はこの問題で16日の参院予算委員会集中審議に応じたが、国会閉会間際に逃げ切りを図ろうとする姿勢に、これで十分と考える国民は少ないだろう。今後も審議の場を設け正確に、丁寧に、直接伝わる言葉で疑問に答えてもらいたい。

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