ホーム くろしお

日本の伝統を貫く美意識

2017年5月19日
 「待ってました」とばかりに歓声が起きたのが、第22回宮崎国際音楽祭の終盤にあった音楽会。気鋭の若手バイオリニスト三浦文彰さんが、アンコールにこたえて演奏した。

 昨年人気を博したNHK大河ドラマ「真田丸」のテーマ音楽。ソロの部分を担当した三浦さん自身による鮮烈な演奏を聴いて、ドラマのシーンが次々に脳裏によみがえった。本県出身の堺雅人さんが主役の真田信繁役だったこともあり、かなりはまって見ていた。

 「真田丸」ロスを埋めるべく、最近ゆかりの地を2カ所訪ねた。一つは「犬伏(いぬぶし)の別れ」で知られる栃木県佐野市犬伏。関ケ原合戦の折、真田親子が対応を話し合った場所だ。持参した古いガイドには載っていないが、時々観光客が来る。

 もう一つは関ケ原後に信繁が謹慎していた和歌山県九度山(くどやま)。古い町並みに六文銭の旗が並び、ミュージアムもできている。結構な観光客が訪れていて、大河ドラマ効果を実感した。ところで、どちらの旅でも期せずして遭遇したのが、徳川家康をまつる東照宮だ。

 佐野市は「厄よけ大師」惣宗寺(そうしゅうじ)にあり極彩色の本殿や唐門が残る。和歌山は紀州・徳川家だから立派な東照宮が景勝地の和歌浦に立っていた。仇敵(きゅうてき)同士が長い時の経過の中では恩讐(おんしゅう)の彼方(かなた)にあることを思うと、日本の歴史が親しく愛しい。

 東照宮は現在、全国に約100社あるとか。日光と並ぶ筆頭格である久能山の名宝が宮崎県立美術館に並ぶ(28日まで)。当代随一の職人による甲冑(かっちゅう)や名刀、書画から、徳川家も戦国時代も超えて日本の伝統を貫く美意識が伝わってくる。

このほかの記事

過去の記事(月別)