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ちょいと一杯のつもりで呑んで

2017年5月18日
 ちょいと一杯のつもりで呑(の)んで、いつのまにやらはしご酒…。「無責任男」を代名詞に銀幕で、テレビで、舞台で活躍した希代のコメディアン植木等さんの「スーダラ節」だ。

 とことん不真面目でお調子者のサラリーマンを演じた植木さんだったが根は真面目で、誠実な人だったという。仕事が終わると「今、終わりました」と家に電話をかけ、まっすぐ帰宅した。アルコールは一滴もたしなまなかった(宝島社「植木等と昭和の時代」)。

 大阪市内の路上で酒気を帯びた状態で乗用車を運転した疑いでお笑い芸人ガリガリガリクソン容疑者が大阪府警に逮捕された。事情聴取に対して、酒を飲んだことは認めているが、運転したことは「記憶にない」と供述しているそうだ。

 パンクした車の中で寝ているところを通報されたというから本人の供述は、あながち言い逃れのためのうそではなさそうだ。だが、それほどまで泥酔した人間がハンドルを握って公道を走ったかと思うと背筋が寒くなる。他人を巻き込まなかったのは幸いだった。

 宮崎市内のデパート地階で、人気絶頂期の植木さんを見たことがあった。売り場全体が騒然としていたが本人は客の一人として普通に売り子さんとやりとりしていた。テレビではふざけていても実際は違うのだと子どもながらに思った。

 スーダラ節の続きを愚か者の所業に変えたら「気がつきゃパンクの車でごろ寝」になろうか。芸人人生を続けたいなら偉大な先輩の背中に学んでほしい。さもないと植木さんが歌った別なヒット曲のタイトルになる。「ハイそれまでョ」だ。

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