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走姿顕心

2017年4月21日
 「まず咲く」がなまって花の名になったとか。延岡市の大崩山を散策したらマンサクの黄色い花が満開だ。山の斜面によっては黄色く染まっていて、新緑と溶け合っている。

 最適な季節と場所に花が咲くように、教育者は子どもの能力を開花させるために環境を整える。小林高駅伝部監督時代に全国高校駅伝で4度優勝に導いた外山方圀(まさくに)さんも生徒の潜在的な資質を見抜き、丹精込めて育て、大輪を咲かせる技に練達した指導者だった。

 毎年12月の全国高校駅伝で「花の-」と形容されるのは1区だ。7区間中最長の10キロ。最初にリードしたい監督が多い中で、外山さんは経験の浅い1年生に任せることもあった。大舞台を経験して今後、飛躍してほしいという期待からだ。

 今では普通の光景だが選手の宿舎や競技場、コース上に応援のぼりが立つ。最初に導入したのが外山さんで、選手や応援団の闘志を高める計算があった。スタート前のウオーマー着用も最初。定期的な健康チェック、食事指導など早くから科学的な研究を重ねた。

 本紙で連載した自分史の題「走姿顕心(そうしけんしん)」は外山さんの造語。「走る姿にはさまざまな心、魂が現れる」という信念だ。「うちの選手は疲れたら歩くが、小林は倒れる」と全国の強豪チームが驚くほど選手のあきらめない姿勢は際だっていた。

 まず咲くこと。選手として、監督として何度も挫折した経験から結果を出す大事さを痛感していた。地方の公立進学校が日本一を狙うのは難しくなったが、亡くなった外山さんがまいた「駅伝小林」の種は今後も花を咲かせ続けるはずだ。

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