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おだいっさん

2017年4月15日
 日本一の高さを誇る延岡・今山の弘法大師像は11メートル。台座、山の高さを合わせると、頭の部分は地上から90メートル弱にもなる。年に一度の沐浴(もくよく)時には頭の高さに足場が組まれる。

 そこに立つと見えるのは、まさに弘法大師が見ている景色。沐浴は春なので、真下には桜のピンク、その向こうに新緑、さらに向こうには延岡の街並みと、かすみがかった日向灘。そのコントラストのすばらしいこと。まさに「光のどけき春の日に…」の世界だ。

 絶景を堪能しつつ思う。この大師像が建てられたのは、1957(昭和32)年の春。終戦からわずか12年だ。その前年に「もはや戦後ではない」の言葉が流行語となったものの、まだそこかしこに延岡大空襲の爪痕も残っていただろう。

 それから60年。延岡を見守り続けてきたお大師さんは、一度焼け野原と化した郷土で、その後の時代をたくましく生きてきた延岡の人々の「平和への祈りと希求」とともにあった。きのう始まった「今山大師祭」は、まさにそれを体現する「お接待」のお祭りだ。

 お接待は人と人との温かい心の交流である「おもてなし」に「祈り」が加わったものだという。大師祭は「世界の平和」にとどまらず、6年前からは東日本大震災の被災地、そして昨年からは熊本の復興への祈りも込めて行われている。

 大師像“還暦”の年に当たる今年の大師祭。1700人規模の市中大パレードといった多彩な催しを楽しみつつも像建立時の精神に立ち返り、一人一人が少しずつでもいい、平和と被災地に思いをはせる「春の祈りの3日間」となればいい。

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