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応援される人になる

2017年3月16日
 延岡市出身の競泳五輪メダリスト松田丈志さんに「客論」を依頼したのは、昨夏のリオ五輪が終わって少ししてから。返事は生きざまそのものだった。「いい挑戦になります」。

 輝かしい記録はもちろんのこと、都市部と異なり恵まれているとはいえない練習環境や、スポンサーを失うという苦しい時期があっても、頂点を目指す姿が人々の記憶に残る松田さんだ。新しく飛び込んだ文章の世界でも、実感を伴った言葉で読者を引きつける。

 印象的なのは自ら問いを設定する姿勢だ。例えば現役中に練習施設で見掛けた「人間力の向上なくして競技力の向上なし」という言葉。大方の人は納得するのではないか。しかし松田さんは人間力って何だろうと踏みとどまって考える。

 そして自分にとっては「応援される選手になる」ことだと具体的な答えを導き出した。スタッフやファンら周りの支えあっての自分であり、人々に本心から応援したいと思ってもらえるか、もらえないかは大きな違いだと気付いたから。それは誰しもに共通する。

 紙面に卒業式の話題が増えた。若者は新生活へ不安もあろう。見守る大人にも。変化する環境に流されないためにも、松田さんの自問の姿勢は参考になる。腑(ふ)に落ちないうちは通り過ぎない。考えることが、自分の「足場」を築くのだと。

 応援される人になるため実践したことが客論に書いてあった。あいさつや返事をしっかりする、感謝の気持ちを持つ、一生懸命取り組む-。若者よ、普段のあなたを誰かがきっと見てくれている。焦らず「自分色のメダル」を輝かせよう。

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