ホーム ひと

兄弟そろって県伝統工芸士に認定された 熊須 豊和(くます・とよかず)さん(左)、健司(けんじ)さん

2019年2月10日
 碁盤や将棋盤を作る盤師の家に生まれた。伝統工芸士の父健一さんは「天才肌」と評されるほどの腕前。その背中を幼い頃から見て育ち、その下で17年余り腕を磨いた。兄の豊和さん(46)は「下手なものは作れないと、今まで以上に責任感が芽生えた」と口元を引き締める。

 高校卒業後、豊和さんは東京の大学に進学、弟の健司さん(43)も東京で俳優業に専念していたが、家業を継ぐ決心を固めて帰郷。以来、九州産の榧(かや)にこだわって制作を続ける綾町の「熊須碁盤店」を健一さんと切り盛りする。

 衝突することもあったが、豊和さんは「口には出さないが、認定に父もうれしそうな顔をしていた。少しは認めてもらえたかな」と目を細める。

 原木から良質な部分を切り出す「木取り」や、漆を塗った日本刀で升目を入れる「太刀盛り」など、それぞれの工程に長い経験と1ミリ以下の精度が求められる。「これまでの経験で見えてきた部分もあるが、まだまだ足りない」。健司さんは父の背中を追い続ける。

 4人兄弟で、弟2人も修業に励んでいるが、盤師の後継者は熊須家の4人を含め全国で6人だけとなった。県内の工芸士も後継者不足に悩む現状に、健司さんは「作り手に光が当たらないと、伝統そのものが消えてしまう。何とか盛り上げたい」と使命感は強い。

 それぞれ2児と3児の父で、同町南俣の工房近くに家族と暮らす。「趣味らしい趣味もない。子どもたちと遊ぶ時間が唯一の息抜き」と口をそろえる。

このほかの記事

過去の記事(月別)