神戸連続児童殺傷事件が起きた1997年の「14歳」のように年齢がその年の事件や世相などを思い起こさせることがある。今年は「75歳」が、それに当たるだろう。
後期高齢者医療制度に伴う年金からの保険料天引きは、きのうで二回目。衆院山口2区補選や沖縄県議選で与党が負けても撤廃にはならない。参院で可決された同制度廃止法案は、首相問責決議や内閣信任決議といった与野党のドタバタ劇の影に隠れてしまった。
同制度は、今話題のメタボ健診にも影響している。実は、おなか周りの測定は、74歳以下を対象とした特定健診のみ。75歳以上の後期高齢者健診には含まれていないのだ。「腹囲の測定ぐらい」と割り切れるものではなかろう。
さらに、今月からは75歳以上のドライバーに高齢者マーク(もみじマーク)の表示が義務づけられた。1年後には摘発対象になる。プロであるタクシー運転手も例外ではない。「客離れを招くのでは」との懸念通り、実際に営業に影響が出始めているという。
一番の問題は、行政が十把一絡ひとからげに75歳で区切ってしまうことで該当する高齢者が社会からの疎外感を感じることだ。先日、宮崎市であった後期高齢者医療制度廃止を求める集会に掲げられた「長生きはダメですか」の言葉が切ない。
前に宮崎市内の住職から「心で殺す」という言葉を聞いた。老親の介護に疲れふと「逝ってくれれば…」と思ってしまうことらしい。ここには人の心の悲しさがある。だが行政の論理優先の制度に人情の機微をくみ取るものは感じられない。
2008年06月14日
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