くろしお

2008年03月16日

 世界中を旅した添乗員に「どこの料理が一番うまいですか」と尋ねた。フランス? 中国? イタリア? 彼は「好みもあるけど」と前置きして「ベトナム」と言いきった。

 この言葉が脳裏から離れず昨夏、何とかやりくりして、かの地を訪れた。ベトナムにほれこんだ作家開高健ふうに書けばどの料理も“メコンの詩情が胃につながっている”かのように美味だった。米のめん「フォー」が香草と合う。カンボジアの麺も忘れられない。

 県内で水稲の田植えが始まった。県南地区は水不足が深刻だ。東南アジアの雨期の雨は、村ごと水没させてしまう。あの何分の一かの雨が、こちらでも降ってくれないものか。空を見上げ品なくも、あの麺のうまさも思い出してしまう。

 最近、小麦粉価格の上昇で麺類やパンの値段が上がっている。一方、米の価格は低迷したまま。昨年産の宮崎の米は台風や猛暑で散々な出来だった。ダイエットで米は目の敵にされ、消費量は40年前の半分になっている。年間一人で一俵(60キロ)も食べない。

 玄米や胚芽はいが米はビタミン、繊維質が豊富で腹持ちする。県米消費拡大推進協議会は毎年、弁当コンテストを開催している。県内の食品加工グループに米粉を配布して、アイデアを募るとパンや菓子などに偏ってしまう。なかなか難しい。

 低迷する国内消費をよそに、日本産コシヒカリが中国の富裕層向けに輸出されはじめた。国内で米の麺がビーフンだけとはもったいない。だしから麺まですべて宮崎版のフォーを見てみたい気もする。小麦高騰は米回帰の契機になりうる。


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