県内の特集

瑛九〜光の冒険【2010-1.5-】

(2009年10月20日付)
■要望や意見募るJR 空港利用者配慮し増便

 「ああ、なるほど。検討してみます」。延岡市の料理店でJR九州宮崎総合鉄道事業部長の川原淳一(52)がうなずきながら熱心にメモを取る。地元の秋の風物詩であるアユやながオープンした10月1日、特別列車運行の視察を兼ねて延岡を訪ね、地元の観光関係者と懇談した席上のことだ。

 特に感心していたのが延岡観光協会事務局長の土屋博長(65)が提案した「ドリームにちりんの停車時間を長めに取って」という訴えだった。

 急行「日南」に代わって1992年から運行する特急ドリームにちりんは現在、博多と南宮崎を結ぶJR九州唯一の夜行列車だ。それだけではなく博多・北九州市からは大分方面、宮崎市からは県北方面への「終電」としての役割も担いつつ乗客数を確保している。

 上り便は南宮崎を午後11時43分に出発し、延岡に到着するのは午前0時49分。県庁所在地の宮崎市で深夜まで会合がある県北在住者にとっては便利この上ない列車だが、未明着だけに車内で寝過ごしてしまい、延岡から約60キロ以上離れた次の停車駅・佐伯で夜を過ごす乗客が後を絶えないのである。

 この特急は大分で時間調整のために2時間程度停車しており、「延岡で止まって、車掌が寝ている乗客を起こす時間はあるはず」と言う土屋の要望には説得力があるのだ。

   □     ■

 定時運行が強みの鉄道は通勤・通学、ビジネス出張の生活・経済面だけでなく、観光をはじめとする地域振興面でも密な関係にあるだけに、利用者からは期待と、その裏側にある不満が常に出てくる。

 沿線市町村から意見を集約した県と毎年1回、ダイヤやサービスに関して協議するだけでなく、年間延べ1万5千人もの社員が利用するヘビーユーザーの旭化成延岡支社とも「要望」を聞く場を定期的に設定。さらには社員が常駐する直営有人駅の延岡、日向市、宮崎、南宮崎、都城駅管内の住民からもモニター制度によって意見を募る。最近はどこの企業でもそうなのだが、利用者の声は「手間を掛けてでも聞く」というのが現在のJR九州の基本姿勢だ。

 今年3月のダイヤ改正で延岡―宮崎・宮崎空港間の特急が上下1便ずつ増便された。下りは延岡午前6時9分発の「ひゅうが1号」、上りは宮崎空港午後9時6分発「ひゅうが6号」がそれである。

 この増便も県北を中心とする宮崎空港駅利用者の声を反映したものだ。羽田行き始発航空便に接続する特急は以前、延岡午前5時19分発の「ドリームにちりん号」しかなかった。一方、上りの増便は羽田発最終便の到着時刻により近づけた対応でもある。

 延岡―宮崎空港間以外すべて赤字路線の本県で、限られた資源を生かしつつJR九州は丁寧に乗客ニーズに応えようとする。しかし、それでも本県利用者から不満が絶えないのはなぜか。その理由を次回以降展開する。(敬称略)
 ◆ ◇ ◆

 高速道がない県北にとって交通の大動脈である日豊線。「大好きだけど、もっと良くなって…」。愛あるがゆえに現状がもどかしい、そんな地元鉄道ファンを代弁する。

【写真】県庁所在地の宮崎市と県北間の大動脈である日豊線。利用者のニーズに合わせて常にダイヤ改正などが試みられている=JR延岡駅


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