地域の力でゼロを目指そう
2008年度の県内自殺者数は363人で、人口10万人に対する自殺者数(自殺率)は32・0人(厚生労働省調べ)と全国で4番目、全国平均24・0人を大きく上回った。
自殺については「本人が弱かったから」などと決めつける社会の偏見が残っている。また、自死遺族の心の傷は深く、癒えにくい。
12年連続で自殺者が300人台後半を推移するという本県の悲しい実態を深刻に受け止めたい。
県民に「なぜ自殺に至るのか」「どうすれば防げるか」を周知徹底させることは私たちにとっての大きな課題である。
自死遺族や自殺未遂者に対する支援の在り方についても理解を深めなければならない。
■ネットワークが不備■
県の「自殺対策フォーラム2009」が8月29日、宮崎市で開かれた。
意見交換会では民間団体や自死遺族のつどいスタッフ、保健所、医療機関、メディア関係者がそれぞれの立場から発言。その中に「電話相談などの水際対策に加えて、地域の声掛け運動も広げるべきだ」などの提言があった。
また、自死遺族を支援する「こころのカフェきょうと」(京都市)の石倉紘子代表が基調講演の中で、06年に施行された自殺対策基本法について「地域の横のつながりが弱く、ネットワークが設立されていない」と指摘した。
どちらも地域の重要性に着眼している。地域内の人間関係を強め、心の病などの兆候をキャッチできれば自殺を防ぐことができる。また、自死遺族が傷ついた心を回復するための場もそれぞれの地域に張り巡らせたい。
■相談せず一人で悩む■
自殺と密接な関係があるとされるうつ病には「表情が暗く、元気がない」「体調不良の訴えが多くなる」「仕事や家事の能率が低下」「交流を避ける」「遅刻、早退、欠勤」などの兆候がある。
周囲の誰かが「おかしい」と気付き、治療を勧めれば服薬や休養によって治すことができる。
当事者は「死にたい」と思うほど追い詰められながら、誰にも相談せず、一人で悩み、状態が悪化する傾向にあるという。つまり、うつ病早期の段階で周囲が気付くかどうかが自殺予防の第一歩だと考えられる。
警察庁が公表している月ごとの暫定値で、今年1〜7月に自殺した人は全国で1万9859人に上り、昨年の同期間より899人も多いことが分かった。
本県は「15人減」だが、7月の完全失業率(全国・季節調整値)が5・7%と過去最悪になるなど、うつ病・自殺の引き金になる要因が社会にあふれている。
「自死遺族の自殺」という痛ましい連鎖の報告も後を絶たないという。
地域の中で何ができるか。しっかりと考え、自殺ゼロを目指すという固い決意を共有したい。
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