社説

2009年07月01日

県政投げ出し発言に戸惑う

 国政転身に強い意欲を示している東国原知事。と、言うよりも知事の腹は固まっているようだ。

 昨年来、度々意欲を示してきたが、少なくとも「県民が後押ししてくれるなら」との姿勢だった。

 だが、今の知事は県民の意向よりも自身の気持ちを優先させているようにしか見えない。

 国政転身に反対する意見は聞き流し、支持する声ばかりを持ち出し、「(国政転身を)多くの県民が望んでいる」という状況に何としても持ち込みたいようだ。

 また、任期半ばにして「知事の責務は十分果たした」と言わんばかりの発言も目立つ。だが、多くの県民の暮らしはなお厳しい。

■知事選公約どうなる■

 自民党からの衆院選出馬要請を受けた際、自身を総裁候補にすることなど条件提示している。

 だが、自民党から返事がまだないにもかかわらず出馬への強い意欲を多くの場面で示している。自民党の返答次第としているが国政に身を移す覚悟を決めていると受け止めるのは当然であろう。

 それにしても知事はわずか2年半でどうしてこうも気持ちが変わったのだろうか。

 初めての知事選を控えた2006年12月の立候補予定者公開討論会で知事は「ふるさと宮崎に骨をうずめる覚悟で帰ってきた」と語っていたのを記憶している。

 もちろん、「何が何でもそうしてほしい」と言うつもりはない。知事職に就いて県政発展に奔走し、思うところもあるだろう。

 地方のために国を変えることへの首長としての限界を感じることもあるのかもしれない。

 だが、知事選で県民と交わした4年間の約束を反故(ほご)にしてまでの態度変更には、知事自らの責任で県民を納得させる必要がある。

■「1年半プラーっと」■

 国政転身に反対と答える人の多くが「知事として県政発展に貢献を」と今後へ期待をこめている。だが、それは期待薄のようだ。

 先日の政治資金パーティーで知事は、「(国政に)行くなと言うんだったら行かない。1年半プラーっとさせてもらう」などと発言。また、「(2010年度の)予算編成して来年2月に議会に示し、採決されれば事実上、僕の仕事は終わり」とも述べている。

 知事の下で働く多くの県職員がこの言葉に憤り、やるせなさを覚えただろう。無責任な発言だ。

 もう心、宮崎にあらずか。ならば県民が無理に知事に任期まっとうをお願いする意味はない。

 一方で、知事が言うように国政での活躍を期待する声もある。知事の地方分権への熱い思いもあろう。しかし、知事は自民総裁候補を条件として求めた。自民総裁は一国の首相を争うポストだ。

 知事の外交や安全保障など幅広い国家政策、理念はほとんど聞かれていない。そんな中での国政転身だけに真意も分かりづらい。

 いずれにしても知事の進退問題は県民に戸惑いを与えている。


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