増加防ぐ先駆的な策欲しい
自殺を抑止しなければならない。景気悪化に歯止めがかからず資金繰りに苦しむ経営者、解雇された労働者に最悪の選択をさせないために官民挙げて対策を練るべきだ。
先手を打って、有効な策を講じるために警察庁が全国の自殺者数を毎月公表することになった。
これまで年1回、前年のデータを6月に公表していたが、速報に切り替える。
今年1月分の数値は3月中に、2008年分も5月には公表する。関係省庁は数字を見て、自殺防止策に役立てる。
■決算期の3月に急増■
過去には金融危機が自殺者増加の引き金になった。
07年の自殺者総数は3万3093人で10年連続3万人を超えた。10年の起点となった1998年は97年の約2万4千人から8400人余りも急増している。
金融危機の嵐が吹き荒れ、
決算期の3月には自殺者が急増した。
そして今、非正規労働者が切り捨てられている。会社の存続と従業員の雇用を守ることの
およそ10年前と現在の状況がダブって見えるのは当然である。
07年の自殺者を年代別でみると60歳以上が1万2107人で最多。50代=7046人、40代=5096人と続き、相変わらず中高年の割合が高い。
原因は「うつ病」「体の病気」が目立つが、多重債務などの経済・生活問題も多数を占める。
■目指す支援はどこに■
自殺防止に取り組む特定非営利活動法人(NPO法人)と専門家が自殺した305人の遺族からの聞き取り調査などでまとめた「自殺実態白書」は自殺に至るプロセスを次のようにまとめている。
まず、事業不振や過労に身体疾患や失業、負債が重なり原因が複合化する。
さらに、うつ病や家族の不和などで複合化が深刻となる。その上で、「うつ病は自殺につながる危険が最も高い」と指摘する。
うつ病を治すためには心の悩みだけではなく、仕事上の問題も解消されなければならない。
305人の約6割が自殺する1カ月以内に相談機関を訪れていた。そのことが、かえって支援態勢の不備を浮き彫りにしている。
例えば、失職した非正規労働者は職や住まい探し、病気や将来への不安など複数の問題を抱えているが、担当窓口が一本化していないため目指す支援にたどり着けない場合があるという。
本県の都道府県別自殺率はワースト2位である。県は16年までに自殺率を05年より25%減らす数値目標を掲げ、官民一体の対策を進めている。さらに先駆的な官民連携によって経済危機に伴う自殺を未然に防がねばならない。
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