県内の特集

真の時代【09.1.3-09.3.14】

■給食に使いたいのはやまやまだが

 湯気の立ち上る金属製の大釜や鍋。刻んだキャベツやニンジンなどの食材が入ったプラスチック製のかご―。調理衣をまとった職員が室内を慌ただしく動き回っていた。昨年4月から稼働する都城市の都城学校給食センターは、29の小中学校に1日1万2400食を供給。県内最大の学校給食の拠点だ。

 「地場産を使いたいのは、やまやまなんだが」。同センター所長を務める市教委学校給食課の瀬戸口耕一課長(54)はそう語る。

 給食に求められるのは約2時間の短い調理時間。1食210―240円という安価な材料費。成長に必要な栄養価。そこに、安全・安心志向を受けて価格の高い県産食材の使用を求める声が加わった。

 しかし、この日使われた県産食材はニンジン、サトイモ、ショウガ。都城産はゴボウだけ。県内屈指の農業地帯の同市だが、県産食材の使用は品目数ベースで約3割。都城産に限定すると1割にとどまる。「ジレンマを感じる」。瀬戸口課長の正直な思いだ。

 地産地消が進まない背景には、さまざまな要因がある。生鮮品の仕入れ先を決める入札では、価格、品質、規格、産地などを総合的に評価しているが、毎日約1万2千食分に上る量を地場産で確保するのは難しい。

 量はあっても使えない地場産食材もある。学校給食で年間50トンを使用するジャガイモは、同市内で年間5千トンを生産。しかし、加工食用の種類なので大部分がポテトチップスの原料として県外に出荷され、学校給食では使われない。

 短時間での調理に欠かせない加工食品も、県産の割合は低い。小中学校の生鮮品以外の注文をとりまとめて発注する県学校給食会(宮崎市)によると、同会が取り扱う約2千品目のうち県産材を使った加工品は23品目にとどまる。同会の漆島久善理事長(64)は「水産物もそうだが県内に給食に見合う価格で加工し、大量供給できる事業所がない」と説明する。

 デザートとして出される県産日向夏ミカンを使ったゼリーのパッケージには、岐阜県内の加工業者が製造元として記載されている。素材は県内産だが、加工は県外で行っている一例だ。

 都城市の給食からなじみ深い「ごま和え」が消えたのは昨年2月。以来、中南米産に切り替えるまでの4カ月間献立にのることはなかった。

 1月末に起きた中国製冷凍ギョーザ中毒事件を考慮し、中国産ゴマの使用をとりやめたからだ。瀬戸口課長は「外国産などに頼らざるを得ない食材も多い」と振り返る。

 同市は、来年度から地元農家と連携し30―50アール規模でゴマの試験栽培に乗り出す。給食での使用を見据えた動きだ。瀬戸口課長は「『地産地消』ではなく、地元で消費するものを地元に作ってもらう“地消地産”も大事。地場産を使えるような流通の仕組みを整えたい」と話す。

【写真】県内最大の都城市学校給食センター。学校給食の現場では地場産活用の求めに応じ試行錯誤を続ける=都城市横市町

(2009年2月4日付)


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