県内の特集

闇を抱えた恋人たち 県内デートDVの現状【08.9.17-08.9.20】

■異常な束縛恐怖残す

 「あの人とさえ出会わなければ…」。県内に住む原田咲=仮名、20代=は大学時代から4年間付き合った恋人のことをぽつりぽつりと話し始めた。

 一歳年上で、男らしく引っ張ってくれる性格にひかれた。交際を始めたころ、男友達と話していると恋人が表情を曇らせて尋ねてきた。「咲はおれよりあいつのことが好きなのか」。「心配になるほど私のことを好きでいてくれるんだ」と幸せに感じたのもつかの間、愛情だと信じた恋人の言動は異常な束縛へと変わっていった。

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 交際相手に精神的、身体的暴力を振るう「デートドメスティックバイオレンス(デートDV)」に悩む若者が後を絶たない。咲もデートDVで心に癒えない傷を負った一人だ。

 「携帯電話に登録している男の電話番号とメールアドレスを全部消して」「男と話さないで」。女友達と約束を入れると、「心配だから」という理由で引き留め「なんでおれと一緒におれんとや」と責められた。

 アルバイト先で同僚との会話を見張られるようになったころ、「男性がいる飲み会には二度と行きません」と書かれた宣誓書に母印を押すよう強いられた。「このままではだめだ」。1年後、咲は別れを切り出した。

 「別れるなら死ぬ」。恋人は叫んだ。台所から持ち出した包丁を自分ののどに押し付け、咲の目の前に立った。凍り付いた咲を「付き合いを全部おまえの親にばらす。裸の写真とか持ってるから」と脅した。「別れるなんてうそ。ずっと一緒にきまってるじゃん」。そう答えるしかなかった。

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 逃げ出すという選択肢をかき消したのは、「大学だけは卒業したい」との思いがあったから。恋人の監視の目はさらに厳しさを増し、通学時以外は外に出られなくなった。

 大学を卒業した咲は、ある日、幸せそうなカップルの姿を窓からふと目にした。胸が締め付けられ、心の中で何かが切れた。「もう耐えられない」。注意深く引っ越しの準備を進め、最低限の荷物だけを持ってアパートを後にした。就職先は失ったが、以来、恋人の顔は見ていない。

 「次に会ったら殺されるかもしれないという恐怖は消えない。あの人と出会わなければもっと違う人生を送れたかもしれないと悔やむ気持ちも一生消えないだろう」と唇をかんだ。

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 恋人から過度な束縛や暴力を受けるデートDV。深刻化する県内の実情と関係者の取り組みを報告する。

【写真】外からは見えにくいデートDV。幸せそうな二人の間にも起きているかもしれない(写真はイメージ)
(2008年9月17日付)


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