2008年02月の記事一覧
芥川龍之介は1日180本のたばこを欠かさず、森鴎外も葉巻を手放さなかった。夏目漱石、開高健、吉行淳之介、山本周五郎、池波正太郎。紫煙なくして名作はなかった。
そんな文士が今の世に生きていたなら、自動販売機へ〈taspo(タスポ)〉をかざし、たばこを買っただろうか。着流しに下駄を鳴らしてたばこ屋へ行き、懐手から金を取り出す。それがカードを探してあたふたしたら、男(女)の美学なるものは崩れ去る。
未成年者の喫煙防止のため、あすから自販機でたばこを購入する際にICカードが必要となった。全国に約52万台、県内は約4700台の自販機がある。全国たばこ販売協同組合の調べによると、売上額の約半分は自販機だという。
このカードには氏名と顔写真が記載されている。いずれデータが集約され、厚労省から「吸いすぎです」とか、市町村から「たばこは地元で買いましょう」などと通知が来ないだろうか。まあそんなことはないだろうが、監視されているような後味の悪さがある。
たばこメーカーでつくる日本たばこ協会は、システム開発費用に800億円以上を投じている。毎年のメンテナンス費用は100億円だという。そんな大金なら自動販売機を撤去し、未成年者の喫煙対策に費用を転じたらいいような気がする。
無論、未成年者の喫煙は健康や素行に大きな影響を与える。一方で喫煙者の立場も尊重されなければならない。こんな背反する命題を解決する利器として、タスポが出現したのだろうか。大団円で終わるような文芸作品と比すべきもない。
過日、小欄で歌人与謝野晶子が評論集「愛の創作」の中で語る若者論を紹介した。「若さは尊い、
きのう行われた「宮崎日日新聞スポーツ賞」の贈呈式。特別賞の綾部誠二さんを除いて、5個人・1ペア・4団体はいずれも中・高校生。目がきらきらと輝いていて、与謝野がこうも語る「若者の前に不可能も
話してみて、大人たちからよく聞く「今の若者は…」という冷めた評価とは違う若者がいた。しっかりと将来を見つめ、自分の考えを持っていて質問にも的確に答えてくれた。その態度が気に入った。目がまっすぐこちらを見つめている。
受賞者を代表してあいさつした嶋田
中学女子陸上800メートルで全国一の
若い力の中でいぶし銀のような輝きを見せていたのが特別賞の綾部さん(宮崎陸協副会長)。77歳。裏方に徹して50年以上というから人生のほとんどを陸上競技とともに歩んできた。こんな人たちがスポーツランド宮崎を支えている。
出自が貧しく、友人から下僕のようにこき使われる主人公にアラン・ドロンは適役だった。金も恋人も手に入れた主人公は海辺で「太陽がいっぱいだ」とつぶやく。クレマン監督の〈太陽がいっぱい〉は最後のどんでん返しが衝撃的な、48年前の名画だった。
ロス銃撃事件で三浦和義元社長が米国当局に逮捕された。再び“容疑者”のついた三浦容疑者の写真を見ながらこの映画を思い出した。メディアに露出していたころと比べ、年を重ねていたものの主人公のように日焼けしていたからだ。
米国・ロサンゼルスで日本人女性が銃撃されたのは27年前。傍らでけがをしたのが夫の三浦容疑者だった。銃撃前に起きた妻への殴打事件は有罪。ゆえに、ロス銃撃事件の真犯人は三浦容疑者であるかのように報道された。あの報道ぶりは異常なほどだった。
三浦容疑者行くところすべてにカメラと記者が待ち構えた。友人や親せきも取材対象となった。多くのメディアが三浦容疑者から起こされた名誉棄損事件でその後敗訴している。事件を報道したのではなく、報道したから事件となった。
最高裁まで争われた銃撃殺人事件については、容疑を裏付ける物証や証言がなく三浦容疑者の無罪が5年前に確定している。〈太陽がいっぱい〉のように真実は白日のもとにさらされるのだろうか。いずれにせよ、結末は重いものだろう。
その供述から、すぐに江戸時代の俳人・小林一茶の句の一つを連想した。「
一茶の句は「
海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、「あたご」の見張り隊員が海上保安本部の事情聴取に、「相手がよけると思った」という趣旨の供述をしていることが分かった。そこに他者への思いやりなどみじんもない。
高みから漁船を見下し、「そこのけそこのけ あたごが通る」とばかりに、公海上をわが物顔に突っ走る光景が浮かぶようで、ぞっとする。この供述の通りだとすれば、危険回避行動が遅れ、衝突の一分前まで自動
「相手がよけると思った」。いくらハイテク艦といえども、こんな身勝手で操船されていたら、たまったものではない。20年前、神奈川県横須賀沖で起きた潜水艦「なだしお」と遊漁船の衝突事故も、潜水艦の回避遅れが主因とされた。
あのときの教訓はどこに行ったのか。「あたご」に少しでも他者に注ぐ温かさがあれば、こんな事故は起こらなかったはず。勝手な思い込みが事故につながった。一茶の句を連想しながら、あらためて「あたご」の犯した罪の深さを思う。
守りから攻めへ。さあ、反転攻勢と意気込んだところにまたまた難問が降り掛かる。こうも次々だと、浮上のきっかけさえつかめない。切せっ歯し扼やく腕わんする福田首相の姿が見える。
安倍前内閣の負の遺産を引き継ぎ、自ら「背水の陣内閣」と名付けた福田内閣発足からちょうど5カ月。理念先行で国民の離反を招いた前内閣と同じ轍てつは踏まぬと、「生活重視」にかじを切り、先月の自民党大会ではこんな言葉で政権浮揚にかける気持ちを表した。
「国民の中に入り、国民の声に耳を傾け、国民の自民党に対するまだ消えぬ期待の炎を、燃え盛る支持と支援の炎に変えていく」。ところが、支持は燃え盛るどころか、今月初めの共同通信社の調査では支持率35・6%にまで落ち込んだ。
ここで不支持の理由として最も多かったのが「首相に指導力がない」。そんな結果を気にしてかどうか、それから保育施設や検疫所など現場に足を運ぶ「首相視察」が多くなった。「国民目線」の福田カラーを演出、指導力をアピールしたいという思惑がのぞく。
道路特定財源をめぐる3月決戦に備えて、ここでは攻めに転じたいところ。そこに起こったイージス艦による漁船衝突事故。形勢を立て直すどころか、政府の危機管理の甘さを露呈、またまた首相の指導力に疑問符がつく羽目になった。
永田町周辺では麻生前幹事長の「ポスト福田」の動きも表面化、首相にとってこれも気が気でないはず。「何も見えない、カラーのないのが福田カラー」という皮肉も聞かれる「背水の陣内閣」。きょうから始まる六カ月目が正念場になる。
石油輸出国機構が減産する、米国の精製施設の稼働が止まる、石油代替の穀物が高騰する…。こんなうわさが飛ぶだけで世界の投機家がモニターを見ながら思惑買いへ走る。
原油の先物市場で一バレル百ドル超えが常態化した。急騰した30年前の第一次石油危機に比べ十倍になっており、常軌を逸した上昇ぶりが分かる。先物市場は昔からあるから驚きはしない。ただ、その欲望の渦はインターネットによって世界へ際限なく広がり続ける。
カネを求める竜が世界中で暴れ回っているかのようだ。弱い投資家は油断していると強い竜にのみこまれてしまう。県内の金融機関もサブプライムローンで数億円を失った。その損を取り戻そうと世界のカネが先物市場へ集まっている。
代替エネルギーとして穀物の値段が上がる。ガソリンと小麦粉の価格上昇は家庭の台所を直撃する。燃料費は運輸業界、飼料費は畜産農家、重油価格は園芸農家や漁業者の体力を奪い取ろうとする。過去二回の石油危機を経験した消費者は賢なれども愚ではない。
例えば園芸農家はハウスの被覆を二重にし、きめ細かな温度管理で危機を乗り切ろうとしている。ただし、車しか交通機関のない消費者は高いガソリンを買うほかない。省エネ運転をしたり安いスタンドを探したりするにも限りがある。
今もなお人気のある作家・司馬遼太郎さんは庶民を〈
「みだれ髪」などで知られる歌人・与謝野晶子が評論集「愛の創作」の中で人間の若さについて語ったくだりがある。「若さは尊い、
さらにこうも。「若さの前に不可能も
男子テニスのツアーで
フィギュアスケートでは四大陸選手権で21歳の高橋大輔選手と17歳の浅田真央選手が優勝。ゴルフでは「ハニカミ王子」石川遼選手が16歳でプロ転向、早くも海外の大会で活躍。女子も21歳の上田桃子選手が初挑戦の米国ツアーで優勝争いを演じた。
話は変わる。つい先日のこと。こんな若い力を向こうに回して32歳でゴルフのツアー出場を目指す宮崎市出身のレッスンプロに出会った。児玉克彦さん。茨城県のクラブに所属、3年前には飛距離を競う大会で401ヤードを記録した。
「あと1、2年が勝負です」。足元を見つめて話す児玉さんを見て思った。与謝野の言う「新しい奇蹟を生む力」は若者だけでなく、前に進む人すべてが持っているのだ、と。児玉さんにエールを送りたくなった。「若い力に負けるな」と。
東京の杉並区立中で塾講師が担当する有料授業が始まった。週3回で1万8千円、4回で2万4千円。民間出身の校長は「さらに伸びる生徒を伸ばす機会」と公言している。
「成績上位者はすすんで勉強し塾に行っている子どもが多い」「下位の子どもは土曜日にボランティアが指導する寺子屋で底上げしている」と言う。この校長は「批判するなら対案を出してほしい」と強調する。強者の論理に、どれだけの人が共感するだろうか。
都内では区立小・中学校の選択制が始まって数年になる。同じ区でありながら、定員の倍以上の希望者が殺到する所があり、一クラスだけの中学校も出ている。公教育でありながら入り口で選別され、中に入っても機会は均等ではない。
県内に目を移す。この10年間で25の小中学校が休廃校し、この春から七小中学校が閉校する。憲法第26条では「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と定める。どう見ても“ひとしく”ない。
都心部では4割が私立中に進学し、公立中も選別できる。私塾に通えなければ、その半額で公立中内の塾に通える。休廃校する自治体は通学バスを走らせるか、保護者が車に乗せて送迎するだけで手いっぱいとなる。何たる格差だろう。
今回の学習指導要領改定で授業時間の増加が盛り込まれた。予算の豊かな都市部は指導を厚くし、地方は不可逆的に休廃校へ進む。道路特定財源の論議がかまびすしい。ならば“教育特定財源”なるものを誰か提唱してくれないだろうか。
「庁」から「省」へ看板を掛け替えてまだ1年なのに、次々に起こる不祥事。いい加減うんざりして、こんなことならもう一度「庁」に戻って再出発したら、と言いたくもなる。
この1年だけでみても、あきれるほどだ。海上自衛隊幹部によるイージス艦の機密情報流出事件、インド洋での米補給艦への給油量取り違え、航海日誌の破棄、横須賀基地に停泊していた護衛艦の火災、そして業者との癒着が暴露された前事務次官による汚職…。
まさに不祥事まみれ。そんな中であろうことか、イージス艦による漁船衝突事故である。「イージス」とはギリシャ神話で、ゼウスが娘に与えた「盾」を意味するそうだ。その身を守る盾が凶器となって漁船を真っ二つだから話にならない。
漁船に乗っていた父子は行方不明のままだ。若いころ親を亡くし、苦労して漁船を手に入れた父。その父が約15年前脳梗塞のうこうそくで倒れ、息子は高校を中退して漁師の仕事を手伝うようになった。この日も、きっと豊漁を期待して漁場に向かう途中だったに違いない。
建造費約1400億円。最新鋭のレーダーを備え、一度に百以上の弾道ミサイルを探知、迎撃する能力を持つ。こんな海に浮かぶ堅固な要塞ようさいをイメージさせる万能のハイテク艦がなぜ、ぶつかる寸前まで漁船の存在に気付かなかったのか。
いろんな「なぜ」が浮かぶ。危機管理体制の甘さもそう。福田首相に事故の一報が届いたのは発生から約2時間後という。たるみきった現状に、どうしてももう一度言いたい。やはりここは「省」を返上、「庁」で再出発したらいかがか、と。
九州縦貫道のルート決定で大論争になったのは、本県選出の故・瀬戸山三男氏が建設大臣を務めていた1970(昭和45)年のことだった。本県と鹿児島でまるで違う。
本県は瀬戸山大臣が主張する霧島の東側ルートを支持。これに対し、鹿児島県は西回り推進県民大会を開く。同県選出の国会議員は「瀬戸山氏は都城市の
結局は自民党委員会が宮崎と鹿児島に分かれる提案をし、政治決着する。当時の瀬戸山大臣は在京新聞社から「我田引水」と非難される。のちに瀬戸山氏は「国土の将来を考えるのが政治家。道路はすべて政治路線だ」と回顧している。
東国原知事と菅直人民主党代表代行の道路特定財源をめぐる公開討論会は、38年前のように大論争になるかと思われた。だが、かたや特定財源維持、かたや廃止なのだから水と油。荒襲のような
一般財源化すると交通手段を車に頼らざるを得ない地方ほど格差が広がる、という地方自治体の論旨はもっともだ。特定財源がマッサージチェアなどへ無駄に使われ、納得するような納税者もいないだろう。民主党の指摘にも分がある。
論議がすべて平行線だったわけでもなく、東国原知事は「(高速道路整備を)平等にやってほしい」と指摘。菅代表代行も「公平公正なルールを考えたい」と強調した。こんな接点から、国土の将来を考えた解決策が導き出されるといい。
あまりほめられたことではないが、日本人の習性として言われることわざに、「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」がある。苦しみもそれが過ぎてしまえば、すぐ忘れてしまう。
「のどもと過ぎれば」の期間がどれほどかは事柄によって違うだろう。だが、この問題はいかに日本人の習性とはいえ、とてもまだ「のどもと過ぎれば」と忘れてしまうわけにはいかない。何しろ事件が発生してから20日もたつのに、いまだに疑問点だらけなのだ。
中国製ギョーザ中毒事件は、今年のサラリーマン川柳コンクール(第一生命保険)の入選作に「箸はしつけた オレを見てから 食べる妻」とあったように、大きな波紋を投げ掛けた。スーパーでは今も中国製冷凍食品が姿を消したままだ。
いつ、どこで、誰が殺虫剤を混入したのか。ところが、ここに来て原因究明をめぐる動きがいやな展開を見せ始めている。日本は中国国内での混入の疑いを強めているが、中国側は明確に否定。対立した中で先日のギョーザ製造元の工場長の記者会見には驚いた。
生産管理などに落ち度がなかったことを強調、「われわれは最大の被害者」と言い切った。これまで沈黙していた中国メディアも安全性のアピールを始めた。「中国側に問題はない」。では問題は日本側に? そうも問い返したくなる。
まさか原因をうやむやにしたまま幕引きを図るつもりでは。中国側の動きをみるとそんな疑念も浮かぶ。だが、ことは食の安全に関する問題。日中政府には共同で徹底した謎解きを求めたい。決して「のどもと過ぎれば」にならないよう。
「九州は一つ」どころか、ますます「九州は一つひとつ」が進んでいて、特に北と南では経済格差が広がる一方。予想されたこととはいえ、宮崎県民としてはため息が出る。
このところの北国を襲っている爆弾低気圧の影響なのだろう。さしもの南国宮崎も連日寒い日が続く。そんな中で発表になった「地域浮沈の
とりわけブルッときたのが「北部九州に企業立地が進み、宮崎、鹿児島、長崎の3県から福岡を中心とした大分、熊本、佐賀4県への人口流出は1970年以降で最多となった」。つまり九州内での格差が明らかに拡大したという指摘だ。
それをはっきりと示すのが有効求人倍率。昨年10月で福岡など4県平均が0.84倍なのに対し、本県など3県平均は0.62倍。悔しいけどその差は歴然としている。中でも突出しているのが精密機器大手が進出している大分。昨年12月は1.07倍だった。
それに対して本県はと言うと、もう目を覆いたくなる。全体で0.62倍。地区別でみると、かつて工都として名をはせた延岡市で0.52倍。県境を越えて人口移動が起こり、吸い取られるように県民が大分に流出しているのである。
白書はこうした格差是正に残された時間を「5年」とし、この間に手を打たないと未来は暗いと結論付ける。このままだと「負け組」のまま。白書は本県にそう通告しているのだ。さてどうする。考えれば考えるほど身震いが止まらない。
昆虫採集家でも知られる解剖学者・養老孟司さんの最新刊(養老訓、新潮社)にこんな記述がある。「私と話が通じる人は…虫好きが多い。それは偶然ではないはずです」。
鳩山法相は子どものころから
養老さんは〈虫は同じように見えてもわずかな違いがある。同じ種類の虫を集めても、採集した場所や高度によって違いを見極める力が必要〉そんなことを書いている。だから、微妙な違いが分かる昆虫採集家同士は話が通じるとした。
鳩山法相は全国の検察庁幹部を集めた会議で、鹿児島県議選をめぐって無罪となった志布志事件について、「
翌日の国会では「被告の方々が不愉快な思いをされたとするなら、おわびしなければならない」と答弁。人ごとのように語り不誠実極まりない。元被告の方々と話は通じないだろう。司法行政をつかさどる大臣の人権意識は蝶より軽い。
鳩山法相は就任後から「死刑執行は自動的に進むようにしたらどうか」「友人の友人がアルカイダ」と失言を繰り返している。「命の大切さ、自然の優しさが分かる」人か自問してほしい。養老さんと話が合う、とは到底思えないのだが。
今、小欄に向き合いながら、気持ちが揺れ動く。どちらに軸足を置いたらいいのか。地方の立場か、消費者の側か。「あちら立てればこちらが立たぬ」の中で戸惑いが深まる。
それぞれにもっともな理由、意見があるだけに、余計に悩ましい。3月末で期限切れとなる揮発油税、いわゆるガソリン税の暫定税率延長の是非をめぐって議論が分かれる道路特定財源問題だ。影響が深刻な本県でも自治体、住民を巻き込んで議論が入り乱れる。
暫定税率延長で固まるのが県をはじめ自治体。国試算では暫定税率が廃止されれば、本県は市町村を合わせて2008年度で税収が106億円も減る。それでなくても台所事情が苦しい自治体にとっては大変な痛手。税率維持は譲れない。
ましてや本県にとって高速道、山間地の道路整備は重要な課題。ガソリン税を道路に充当する道路特定財源の一般財源化は絶対に受け入れられない。きのう開いた暫定税率延長を求める県総決起大会でも一般財源化は地方の実情、声を無視するものと切り捨てた。
が、一方で相次ぐガソリン値上げに消費者、運輸業者などからは暫定の上乗せ分を廃止してガソリンを安くしてほしい。一般財源にして福祉、医療などにも有効に使ったら、などの声も届く。これもないがしろにするわけにはいかない。
どちらにも耳を立てる。だから、小欄も戸惑う。国会は3月末までに一定の答えを出す責務を負う。ねじれの中でこの際、政局絡みを捨て、国の道路整備のあり方を問い直す根本論議を求めたい。果たして着地点は。小欄の戸惑いは続く。
1995年度の県予算は5882億4100万円。「一緒に(5)発信(8)輪になって(8)つくろう(2)新しい(41)宮崎」。こんなごろ合わせが発表された。
2008年度の県予算5590億8600万円はそれを下回る。「今年のごろ合わせは何ですか?」。こんな質問に県の担当者は「えっ」と驚き、「最近はそんなごろ合わせはつくっていないですね」と返ってきた。その嘆息ぶりが財政の窮状ぶりを物語る。
バブル崩壊後の財政水準に近い。ゆえに「10年前と同じ暮らしぶりでいい」と開き直れるほど安穏としていられない。一般家庭の貯金にあたる基金残は213億円となる見込みで、平成になって最も低い。不測の事態に対応できない。
それにしても全国の自治体が昨年大騒ぎした法人2税の見直し、ふるさと納税制度の創設とはいったい何だったのだろう。法人2税の見直し効果が出るのは09年度から。新年度から始まるとされるふるさと納税制度に至っては、増減さえも予想できないという。
これに代わるものとして、国は地方交付税を一時的に増やして、地方の痛みを鎮めた(本県は40億円増)。大山鳴動して、
県に代わってごろ合わせをつくってみた。「一緒に(5)ご苦労(590)やむをえず(86)」。借金の支払いピークが5年後に訪れるとあっては苦言じみてしまう。これ以上暗く、寒くなりようがないのは夜明け前だからと思いたい。
またか、という思いとともに思い出すのが沖縄で初の芥川賞作品となった大城立裕さんの「カクテル・パーティー」だ。米兵の女子暴行事件を題材に日米関係のあり方を問う。
舞台は戦後、まだ米軍統治下にあった沖縄。主人公の娘が暴行され、裁判を起こそうと動く。だが、当時は沖縄人が米軍要員の婦女を暴行したら死刑なのに、沖縄の女性が暴行を受けたら泣き寝入りするしかなかった時代。物語ではそんな矛盾を浮き彫りにする。
カクテル・パーティーは基地内で開かれる友好親善の象徴。大城さんはパーティーの欺まん性を指摘する。「私が告発しようとしているのは、ほんとうはたった一人のアメリカ人の罪ではなく、カクテル・パーティーそのものなのです」。
もちろん当時と今では状況的に随分違う。だが、今度またも起こった米兵による少女暴行事件を見ると、米軍と沖縄をめぐる構図は今なお、そんなに変わっていないと言わざるを得ない。そこにいつまでたっても弱者の立場に置かれた沖縄の現実が透けて見える。
それにしても、だ。どうしてこうも50年1日のように米兵による性犯罪が繰り返されるのか。1995年、米兵3人が小学生の女児を暴行した事件では沖縄県民の怒りが爆発した。あのとき米側も二度と起こさない、と誓ったはずだ。
なのに…。「13年前と何も変わっていない」。沖縄県民の言葉が重い。国に求めたい。それはこの沖縄の怒りを自らの怒りとして米国に伝えることだ。でないと、「カクテル・パーティー」が描く時代はいつまでも過去のものにならない。
県外に出張する人にとって2月の東京、大阪行きの航空便を確保することは難儀なことだった。プロ野球キャンプに加え大学受験と重なったからだ。今はそれほどでもない。
私大入試の多様化が進んだことが背景にある。推薦入試や面接を重視するAO(アドミッション・オフィス)入試など、一般入試以外の入学者は49%(2006年度)に達している。国公立大もAO入試を導入する大学が増え、学生“青田買い”の様相を呈する。
大学・短大の入学者数と、志願者数が同じとなる“大学全入時代”が本年度から始まるとみられている。高校卒業者の約半数が大学・短大に進学。より好みしなければ計算上、誰でも短大・大学に入学できる。だが朗報ばかりでもない。
受験生に門戸が広がった一方、生徒獲得競争は激化している。首都圏や関西の有名私大は学部を次々と増設。科目や会場を変えれば複数回受験できる方法を、多くの私大が導入した。短大が学生を求めて4年制大学に参入し、知名度で後れを取る地方は分が悪い。
06年度の県内私立大の入学定員充足率は89%と、学生確保に苦慮している。大学・短大進学者のうち県内進学は28%。県内の大学が受け皿とならず学生は県外へ流出する。大学が学生を選ぶ時代から、学生が大学を選ぶ時代となった。
国は少子化が分かりながら私大の設置基準を緩和した。そして、定員割れが続くと助成金を減らす。展望なき施策が繰り返され、いずれ大学と学生に災厄が降りかかる。大学全入は台風の目に入った状態と似ている。必ず吹き返しが来る。
決して語り口も流ちょうではなかった。でも、淡々とした言葉に説得力があり、引き込まれた。そこに「何としても鉄路を残したい」という思いがあふれていたからだと思う。
千里の道も一歩からと、神話高千穂トロッコ鉄道社の新たな挑戦が始まった。先頭に立つのが高千穂町出身の作家高山文彦さん。このままでは地域社会そのものが終わってしまう。そんな危機感を覚え、清算の瀬戸際で踏みとどまった会社の新社長を引き受けた。
鉄道事業法に基づく国の認可取得をあきらめ、鉄道資産を公園化して遊具として列車を走らせる。まず高千穂―天の岩戸駅間。その後延岡市内にも拡大、レールを保存しながらあくまでも全線復旧を目指す。公園化で雇用機会も増える。
それが高山さんの描く復興プランだ。そんな思いを伝えたいと社長就任早々の先週高千穂、日之影町、延岡、宮崎市で住民や支援者との対話集会を開いた。宮崎会場をのぞくと集まったのは40人弱。空席が目に付き、それだけでも前途の厳しさが伝わってきた。
参加者からは公園化に反対する声も出され、当然のこととして新たな挑戦が容易ではないことを印象づけた。会社自体、最大出資者だった高千穂町観光協会が撤退するなどして残った株式は株主13人の約300株。再建はいばらの道だ。
その中で心強い支援の声も届く。公園化を希望の一歩に―。新生トロッコ社は3月に会社の名称を変え、事業計画を示す。宮崎会場で聞いた高山さんの鉄道公園化に託すふるさと再生への思い。それを信じてこれからの動きを見守りたい。
はんなりと香りが漂っている。宮崎市の青島自然休養村と市民の森の紅梅がほころび始めた。えびの高原や五ケ瀬は凍りついているのに、立春を過ぎてきっちりと開花した。
かじかむような寒さの中で、恥じらうように紅梅が開花する。そのあと、長幼の序をわきまえた佳人のごとく白梅が続く。こんな天の配剤のような自然の妙味を、あとひと月は楽しめる。南国でありながら自然が豊かなのは標高差のある本県の魅力の一つだろう。
梅の名所は宮崎市高岡の月知梅、新富町の座論梅、川南町の天龍梅と数多い。いずれも数百年の老木が風に倒れ地に伏している。臥が龍梅りょう と呼ばれるその姿は、日本人に最も人気のある桜を「まだ若い」と制しているかのような趣がある。
〈月知〉と呼ばれていては、月夜の晩にぜひ見てみたい。〈座論〉は梅林の所有をめぐって、高鍋藩と佐土原藩の間で論議になったことが由来らしい。〈天龍〉は傍らに落下傘部隊発祥の記念碑がある。どれだけの戦争犠牲者が仰ぎ見たのかと思うと、胸が痛む。
散り際の美しさから、桜は先の戦争で〈同期の桜〉と歌われた。戦死も〈散華〉と美化された。このため戦争体験のある人の間で桜の評価は二分される。和歌の世界でおおむね花の意味が平安中期まで梅、それ以後は桜とされたように。
京都で使われることの多い〈はんなり〉は〈花也はななり〉が語源で、上品な華やかさを指すという(「ことばの由来」堀井令以知著、岩波新書)。この花は梅ではなかろうか。風花の舞う中、香りを訪ねてみるのもいい。寒あってこそ引き立つ。
大相撲の世界に「3年先の稽けい古こ」という言葉がある。股また割り、四し股こ、鉄砲、すり足。けいこでこの基本動作を繰り返し修練、身に染みこませる。それは3年先に生きてくる。
だから、若い力士たちはその3年後を信じて今のつらいけいこに耐え、先輩力士の胸にぶつかっていく。史上最多の32回の優勝を誇る第48代横綱・大鵬も自著「相撲道とは何か」で「厳しいけいこで心・技・体が備わる」と「3年先の稽古」について語る。
ところが、その3年先のためのけいこがけいこに名を借りた集団リンチ、しごきであったのだからもう言葉もない。元時津風親方と兄弟子三人が傷害致死の疑いで逮捕された。若い力士の夢を暴力で砕いた責任の重さは、計り知れない。
調べでは元親方は昨年6月、制裁の目的で序ノ口力士をビール瓶で殴り、「おまえらもやってやれ」「てっぽう柱に縛り付けておけ」と指示、兄弟子は木の棒などで殴打。翌日も30分以上のぶつかりげいこを強要し、金属バットで殴ったりして死亡させた疑い。
まだ17歳。洋々たる前途を相撲界では親とも言える親方の手で奪われた。むごいとしか言いようがない。許せないのは暴行したことを外部にもらさないよう兄弟子に口止めしたり、遺族が遺体に対面する前に火葬しようとしたことだ。
神聖なけいこの場がしごきの場になり、力士の命が奪われた。国技の名を汚す前代未聞の事件だ。日本相撲協会の責任は大きい。なのに動きも感度も鈍い。まず協会が責任を明確にする。それが国技として再出発する大前提ではないのか。
〈裏掲示板〉〈学校裏サイト〉。知らない生徒はまずいないだろう。無料の掲示板に匿名で何でも書ける。落書きと同じで
もはや、学校のいじめは現実の世界から、携帯電話やパソコンから簡単に接続できるバーチャルの世界へ移っている。兵庫県の高校生が昨年自殺した事件も、こうした秩序のない無法地帯が舞台となった。落書きと同じだから、消しても消しても書かれてしまう。
携帯電話会社は今月から、未成年者を対象にした有害サイト閲覧制限(フィルタリング)サービスを始めた。裏掲示板に加え犯罪の温床となりがちなアダルト、出会い系、自殺、ギャンブルなどのサイトへ接続できないように強化した。
ある携帯会社の広報部は「フィルタリングサービスの利用率は企業秘密なので…」と歯切れが悪い。サービスが始まって日が浅く、保護者への周知が徹底していないらしい。また、未成年者が「友達を増やせるサイトが使えない」と反発している面もあるようだ。
メールを交換しているだけ―と勘違いしているのは親ばかり。「友達から仲間はずれにされる」との子どものささやきに負けてしまうと、とんだ掲示板まで背負い込んでしまう。安心や便利の陰では、トラブルや不安も待ち受けている。
携帯電話から〈ケータイ小説〉が生み出されたように新しい文化の息吹を感じないでもない。それもこれも使う側が自立し自制できる立場になってこそ。ここは保護者が〈親の甘茶が毒となる〉とばかりに踏ん張って気概を示す時だろう。
小学校の図書館や村の教会の半地下の大部屋に三々五々集まってはかんかんがくがくと誰を支持するか議論する。談論風発。集まる場所が違うだけでそれは都市部でも同じ。
日本で言えば、昔の井戸端会議を広げたものを想像すればいい。老いも若きも、いろんな人が参加して口角泡を飛ばす。こんな風景が初代大統領を選出して以来、これまで4年ごとにもう200年以上も続いている。もはや国を挙げてのお祭り騒ぎと言ってもいい。
それが大統領選の投票日として連邦法で定めた「11月第1月曜の翌日の火曜」、今年は11月4日まで前哨戦も含めると実に1年以上にもわたって繰り広げられるのだ。そのスケールの大きさは日本的感覚ではとても想像もつかない。
スケールの大きさではもうひとつ。厳しい長丁場を乗り切るのにものをいうのが資金力。今年は有力候補の激突もあり、最終的に全候補者の選挙資金は総額10億ドル(約1060億円)を超えると言われる。日本なら、金権選挙と大ブーイングが起こるのは間違いない。
そんな米大統領選の天王山「スーパーチューズデー」が終わった。いつもならここで勝敗の行方が決まるのだが、今年は決着先送りの様相。特に民主党のクリントン、オバマ両上院議員はいぜんがっぷり四つのまま後半戦になだれ込む。
戦いの構図は猛追するオバマ候補をクリントン候補がどうしのぎきるかだ。遠く海を隔てていても緊迫感がひしひしと伝わってきて、選挙好きにはこたえられない。天王山がずれ込み、ますます4年に1度の決戦から目が離せなくなった。
日本の2006年度食料自給率は40%を切った。園芸や畜産が盛んで、農業産出額が全国五位の本県は意外にも低い62%。その原因は畜産の飼料を輸入に頼っているためだ。
最近は食料自給率に加え〈フードマイレージ〉という考え方が提唱されている。輸入量と輸送距離を乗じた数字が環境への負荷を示すという。日本の指数は米国の五倍にも膨らんでいる。ここでも、穀物の大半を外国に依存していることが歴然と数字で示される。
世界の食材が集まるグルメの国と誇れるかもしれないが、食料を他国に任せた無策のなせる業だと言える。食料安全保障の視点からも憂慮すべき事態だろう。そこに割って入ってきたのが、地理的条件が良く経済成長著しい中国だった。
これまで多くの人が冷凍食品の原産国を確認することはなかった。それがギョーザ中毒事件で、ネガを見るように注目が集まるとは、皮肉としか言いようがない。どんな大手会社でも安全でないと分かったのだから。最近は自然と原産国に目が向いて仕方がない。
日付偽装は百歩譲って「もったいなかった」との考え方が分からないでもない。しかし、大手会社が扱い、長持ちしそうな冷凍食品から農薬が検出されるとは予想だにしなかった。消費者も販売業者も、不意を突かれたという観がある。
これから日中両国が原因を解明していくだろう。どんな結果を想像しても胸のつかえがとれないのは、口に入れる物を6割も他国に任せている現実が残されるからだ。地産地消という地味な行為が大事なことだとあらためて気づかされた。
日本流に言えば勝敗を占う天王山、ヤマ場ということになるのだろう。この日4年に一度、米国に世界中の目が注がれる。いよいよきょう、その「スーパーチューズデー」。
日本ではまだ江戸時代の1789年、初代大統領にワシントンが選出されてから米国は4年ごとに大統領選一色で過熱する。この状況を1831年に米国を視察したフランスの政治思想家トクビルは、法律の名の下に行われる「制御された革命」と言ったという。
その期間中、米国人は政治が停滞してしまうほど、選挙以外には関心を示さなくなるからだ。その「制御された革命」の天王山がスーパーチューズデー。1988年20州で3月の第二火曜日に予備選が集中してからこの言葉が定着した。
今年のスーパーチューズデーは過去最高の20州以上で候補者選びを実施。大票田のニューヨーク、カリフォルニア州も含まれ、民主、共和党の各陣営ともこの日1日だけの結果が指名レースの
とりわけこれまでの予備選で互角の民主党クリントン、オバマ両上院議員のつばぜり合いは外から眺めていても面白い。政策論争で真剣勝負をしているかと思えば口汚く中傷合戦、次は一転して融和ムードを演出するなど飽きさせない。
ブッシュ大統領の不人気で共和党は旗色が悪い。11月の本選では民主党大統領が選出されそうな勢いで、そうなると初の「女性」「黒人」大統領誕生となる。どちらが指名争いで優位に立つか。スーパーチューズデーから目が離せない。
ねなかった。助かったことを喜んだ妻と祝いの酒を酌み交わしたら、2人とも死んだ」。
しばらく前に中国ではやった小話だ。つまり稲も毒薬も酒も偽物。芽が出ないことに悲観して、毒薬と思って飲んで自殺を図ったらそれが毒薬でなく、命を拾った。そこで思い直して再出発を期して酒で乾杯したところ、それがまがい物で命を落としてしまった。
そういうわけだ。中国では文化大革命で伝統的価値観が破壊され、その後の改革路線でルールが確立しないまま市場経済に突入、無秩序な拝金主義が横行して偽物が社会にはんらんしたと言われる。小話はそんな社会を背景にしている。
その中に食品も含まれるから、笑うに笑えない。中国の食の現実をリポートした一冊の本がある。国際的な文学賞も受けた中国人ジャーナリスト
豚の赤身肉を増やすために薬を投与する、人間の髪の毛を分解したアミノ酸で“頭髪しょうゆ”をつくる、ホルモン剤を使って養殖魚の成育を促進する、合成染料で卵の黄身を鮮やかにする、などなど。背筋が寒くなるような話ばかり。
これらは2006年までの取材に基づく。その後中国政府は安全検査を強化したという。それが殺虫剤入り冷凍ギョーザの拡大で“中国脅威論”は勢いを増す。日本の食卓から中国製食品が姿を消し、だんだん中国が近くて遠い国になる。
触れんばかりの近さで昭和天皇をお見かけしたことがある。今から35年前の春。全国植樹祭が小林市の夷守台で開かれ、都城市早鈴町の島津邸に宿泊されたときだった。
市民の出迎えに昭和天皇は車窓から手を振り、うなずくように応えられた。御料車のプリンスロイヤルは全長6.1メートル、車高が1.8メートルと通常の車よりはるかに大きい。そのため昭和天皇がいっそう小柄に見えた。菊の御紋が島津邸へ音も立てずに入っていった。
この由緒ある島津邸購入予算案が、市議会で賛否同数となり、議長裁決で可決された。その前には購入請願を賛成15、反対25で不採択。一転して総務委員会は購入予算案を6対2で可決したから、予想もしない本会議結果だった。
なぜこうも市議会が二転三転したのか、市民には全く分からない。委員会の意に沿えば本会議は30対10ほどで可決されたはず。重要な予算案を無記名とした理由も
屋敷を買い取り、活用する確認書を市は島津家と締結していた。島津邸から刀25本が盗まれる事件があり、文化財の散逸を懸念する声が、締結を後押ししたのは間違いない。その後、約1万点の史料や工芸品が市へ寄贈されている。
「説明が足りなかった」(長峯誠市長)という意味では、無記名投票を選択した市議会も同じだろう。一双の屏風びょうぶ絵を2つに分けたとしたら、何の意味も成さなくなる。市、議会、市民が一体となって先人の文化財を守り、育ててほしい。
「昔は日本中のうまいものが東京に集まった。今は世界中の危険なものが東京に集まってくる」。5年前「食と農」について聞いたときの農民作家・山下惣一さんの言葉だ。
佐賀県唐津市の自宅に伺って耳を傾けた。「コピー食品やまがいものがあふれ、今や勉強しないと自分の命は守れない」「今は大根おろしが冷凍食品で輸入されている時代。これほどの金持ちの国で、何が悲しくて大根おろしまで輸入しなければならないのか」。
日本の食の現状、消費者行政について農の現場から、皮肉を交えて容赦のない言葉が連続した。「食の安全を揺るがす問題はまだまだ出てくる」。今、そのときの言葉を思い出しながら、5年たって全くその通りの現状に身震いしている。
スーパーで買った中国製冷凍ギョーザに殺虫剤が入っていた。それを食べて中毒症状に陥り、一時重体になった女児もいる―。何とも衝撃的。まさか命にかかわる毒物が食品に混入しているとは、誰も思わない。が、それがまさかでなかったのだから言葉を失う。
中国製の食品や薬などによる中毒は世界で問題になっていた。有害物質入りのペットフード、塗料に鉛が入った玩具、昨年はパナマで、中国製の原料を使ったせき止め薬で約100人が死亡した。日本にもいつ上陸してもおかしくなかった。
だが、それが現実になり、被害の拡大であらためて中国製食品が日本市場を席巻している実態に驚く。「中国製を撤去したら、日本の食生活は成り立たない」という声も聞かれる。事件は輸入品頼みの脆弱なぜいじゃく 日本の食の現実も突きつけた。
アオダモのバットを一振りすると白球は弧を描いて青空に吸い込まれる。ポンと胸で勢いを殺されたサッカーボールが足元で自在に動き始める。魔術を見ているかのようだ。
ついこの前正月だったような気がするのに、もう2月。本格的なキャンプシーズンが始まった。プロ野球は韓国の2球団を含む7球団、サッカーはJリーグ14チームが宮崎に集結する。昨年は56万人のファンが本県を訪れ、今年はさらに盛り上がりそうだ。
商売を営む人は寒い2月、猛暑の8月を売り上げが落ち込む「ニッパチ」と呼んで嫌いがちだ。しかし、本県の2月はファンや報道関係者が訪れてくれる喜ばしい季節となる。ホテルのフロントマンもタクシー運転手も笑みがこぼれる。
“里帰り”するプロ野球の筆頭株は巨人軍の木村拓也選手。昨季は正2塁手として活躍し37歳にしてプロ入り最高年俸を得た。新婚のホークス井手正太郎選手、1軍が確実視される大田原隆太投手、広島カープの甲斐雅人選手も勝負をかける年となりそうだ。
J1は昨年優勝を果たした鹿島アントラーズに3人の本県出身者がいる。22歳以下代表のキャプテンを務めた伊野波雅彦、リーグ戦で6得点した興梠慎三、献身的プレーを見せる増田誓志の各選手は北京五輪出場も期待されている。
投げ、打ち、走る野球選手は力強い虎を、スペースに走り込んでくるサッカー選手は俊敏な







