地方が元気になるためにこそ
都市―地方間格差がクローズアップされるにつれ、地方分権改革の機運も鈍くなりがちだ。
三位一体改革による地方財政の逼迫ひっぱくが予想以上に大きく、分権・自立への掛け声も次第に小さくなっている。
全国知事会退潮の影響も大きい。改革派と呼ばれた知事が相次いで引退。焦点の道路特定財源問題に見られるように、疲弊した地方は国の意向に逆らえない状況に追い込まれている。
その分、新しく登場した本県の東国原知事らに期待がかかるが、既得権を死守する各省庁の壁は厚い。
だが、地方が活力を取り戻すには分権改革が不可欠だ。今年を地方改革による「元気回復元年」にできないか。
二重行政解消が課題
今年は「第二期地方分権改革」の成果が試される重要な年になる。
改革論議の中心になっている地方分権改革推進委員会が政府に対し、国と地方の役割分担などで相次いで勧告することになっているためだ。
既得権を手放したくない各省庁が勧告を骨抜きにしようとするのは目に見えている。勧告を実りあるものにするためには、福田康夫首相と各閣僚の強力な政治指導力が何より必要だ。
昨年4月に発足した分権改革委員会は、勧告に向けた基本方針を盛り込んだ中間報告を昨年11月にまとめた。勧告の柱は3つある。
1つは、地方の仕事の手順、判断基準に国が法令で細かく定めている「義務付け・枠付け」を取り払い、地方の裁量を大幅に拡大することだ。
2つ目は、国の出先機関を廃止・縮小し、道路や河川の管理など都道府県との二重行政を解消すること。
3つ目は補助金を廃止し、地方が必要な事業にお金を使えるようにする地方税財政改革である。
問われる首相指導力
これにより国は環境、少子化対策などの国家的事業に専念、地方との役割分担がより明確になる。
地方は自立した「地方政府」に踏み出すことができるという筋書きだ。
同委員会は、義務付け・枠付けと地方出先機関の抜本改革案を中心に6月ごろから順次勧告する。
増田寛也総務相は、勧告を受けて政府がつくる「新分権一括法」を来年秋の臨時国会に提出する方針だ。
法案化作業などから逆算すると、勧告の時期は来年春あたりで、今年が勝負ということになる。
既に同委員会から各省庁に、住民サービスの手続きや判断に当たって「…しなければならない」などと地方を義務付けている全条項を点検。廃止の意向を聞く調査票が送られている。
全国知事会などが二重行政だと批判している地方出先機関の廃止・縮小についての照会なども含め、省庁に今年3月までに回答を求める方針だ。
法律で地方を縛り、地方出先機関で予算と人員を動かしている各省庁がすんなり応じるはずがないのは、先の三位一体改革でも明らかだ。
そこにこそ、福田首相や閣僚らの指導力が求められる。地方の期待を裏切れば支持を失い、政権が危うくなることを覚悟すべきだ。
政府は2008年度予算案に「地方再生対策費」を盛り込むなど、地方対策に本腰を入れる姿勢ではいる。
ただ補助金頼みでは地方は元気にはなれない。改革の成否の鍵を握る地方にも覚悟が求められるのは当然だ。
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