社説

2007年11月04日

実効性を高め犯罪被害防ごう

 携帯電話やパソコンの「出会い系サイト」を通じ、子供が犯罪やトラブルに巻き込まれる事例は増える一方だ。

 このため、政府は「出会い系サイト規制法」(2003年施行)改正で未成年者利用の防止を徹底する。

 IT戦略本部(本部長・福田康夫首相)が近く、「有害サイト集中対策」を決定するが、この中には学習指導要領を改定し、有害サイトへの適切な判断力を育成する「情報モラル教育」を推進することも盛り込んだ。

 有害サイトは、出会い系ばかりではなく、凶悪な事件につながる闇サイトなどネット上に数限りない。これらも含めた法規制論議と併せ、子供たちへの適切な指導が必要だ。

■中高生の被害が急増■

 警察庁のまとめでは、今年1月から6月までの出会い系サイトに関連した事件の被害者は708人で、85%に当たる604人が18歳未満だ。このうち、96%は携帯電話からアクセスしており、ほとんどが中高生という。

 また、県警によると県内で昨年1年間に出会い系サイトで被害に遭ったのは15人だったが、今年は8月末までにすでに17人と増加傾向にある。全国の傾向と同様にその多くが中高生であり、深刻な状態だ。

 これらの中高生らは、ちょっとした好奇心からサイトにアクセス、そこで知り合った大人から性犯罪の被害を受けるケースが多い。

 現行の出会い系サイト規制法も未成年者の利用を禁じ、事業者に対しては年齢確認を義務づけるなどしている。しかし、実際には未成年者らが容易にアクセスできるのが実情だ。

 対策案では本年度中に法改正の結論を得るとしているが、未成年者が利用できないような具体的で厳格な規制をどう盛り込めるかが課題だ。

■保護者の意識高めよ■

 対策案は、闇サイトを通じて知り合った男三人による女性拉致・殺害や自殺サイトを舞台にした嘱託殺人などの事件続発を踏まえて、関係省庁でつくる「IT安心会議」が策定した。

 ただ、憲法が保障する表現の自由との兼ね合いから、出会い系を除く有害サイトの法規制は引き続き見送られることになり、出会い系の規制が行われてもその実効性には疑問が残る。

 内閣府の有害情報に関する特別世論調査では、わいせつ画像を提供したり、自殺・犯罪を誘引したりするインターネット上の有害サイトの規制を求める人は90%以上にのぼっている。

 こうした背景には昨今のネット上でのあまりに過激な性情報のはんらんや、凶悪な事件につながる闇サイトが野放し状態になっていることがある。

 表現の自由を保障するにしても、そこには公益性や未成年に対する配慮、犯罪防止への最大限の対策が取られていることが前提だ。出会い系に限定せず広く有害サイトに対する法規制議論がなされるべきではないか。

 携帯電話各社では未成年者が購入する際、保護者に有害サイトの閲覧を制限するフィルタリングの意思確認など行っているという。

 ただ、携帯電話やパソコンの操作方法を子供の方が詳しく、子供が実際にどのような使い方をしているか十分に把握していない親も多い。

 法による規制だけでは限界がある現状では、サイトの危険性を周知する機会を広く設け、保護者の意識を高めることも必要になっている。


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