もっと具体的な施策ほしい
政府が発表した今年の「経済財政白書」は、雇用情勢の悪化を厳しく指摘。生産が早期に回復しなければもっと大規模な雇用調整につながる恐れがあるとした。
米国発の金融危機は日本をはじめ欧州、アジアに広がり、この1年で世界的な不況に陥った。
政府の経済対策に加え米国、中国などの大規模な財政出動効果もあり、生産や輸出は持ち直しつつある。また、与謝野馨経済財政担当相は6月、景気底打ちを事実上宣言した。
だが、製造業を中心に拡大した雇用調整の動きはさらに深刻化し、今年1〜3月の全産業の余剰人員は最大で607万人といわれる。日本経済の持続的な回復への道筋はまだ見えてこない。
■失業率最悪の予想も■
米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発した経済危機だが、当初、米国の金融機関の問題であり日本への深刻な影響は少ないとみられていた。
ところが、米国や欧州の景気後退が日本の輸出産業を直撃。自動車、電機といった製造業の業績が急激に悪化し、その影響は中小の関連企業にももろに響いた。
国内総生産(GDP)は、今年1〜3月期が年率換算で14・2%減と戦後最悪の落ち込みとなった。4四半期連続のマイナス成長で、主要先進国の中でも最も大きな減少を記録している。
その後、前述したように経済は最悪期は脱し、生産、輸出が改善傾向にあるが、雇用情勢はなお、その兆しが見られない。
5月の完全失業率は5・2%に悪化、過去最悪に達する可能性もあると予想されている。
この傾向は本県でも深刻だ。5月の有効求人倍率は22年ぶりの低水準で、前年割れも26カ月連続となった。宮崎労働局は「本県経済の回復の兆しが見えない以上、雇用情勢の悪化は今後も続くだろう」と分析している。
■生産の早期回復必要■
白書が指摘するように、生産の早期回復が雇用維持、改善に重要であることは間違いない。そこで白書は非正規雇用、失業問題に対する安全網の充実が必要としており、「景気回復こそが最大の格差対策」と強調している。
だが、そのための具体策には踏み込んでいない。
経済の立て直しには各国が公的資金を投入するなど政策を総動員している。日本政府も金融機関だけでなく、メーカーへの公的支援、自動車、家電製品の販売補助策なども大々的に打ち出した。
ただ、白書はこうした公的支援が長期化すると、企業の非効率な体質の温存などを通じ、逆に国の成長力を弱める可能性もある、とも指摘している。
今後、日本経済は景気回復へ着実に進むのか、再び逆戻りするのか重要な岐路に立っている。白書が指摘する分析や問題点はもっともだが、変革期に必要なもっと具体的な施策を示してほしい。
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