社説

2009年03月19日

 のどかな春の風物詩のはずだった。植物の新しい命を次の季節につなぐ野焼き。だが現場は一瞬にして惨事に変わった。炎を噴き上げる春嵐が、お年寄り4人の命を奪った。

 大分県湯布院町の原野。住民約70人が見守る恒例の行事だった。だが一帯は乾燥注意報が出、5―10メートル級の風が吹いていた。風に乗って速度を増した火勢が、逃げ遅れた4人をのみ込んだらしい。住民はベテランぞろいだった。解けない「なぜ?」が痛ましい。

 春嵐は春疾風はやてとも言い、山火事の多い時期に重なる。砂塵さじんを巻き上げるため、古くから歓迎される風ではない。折から黄砂が列島を見舞っている。そのせいでもなかろうが、県内の議会でも春嵐が吹き荒れ、一時視界不良状態になった。

 県議会では、定数削減などの改正条例案をめぐって最大会派の自民党が割れた。採決直前になり一部議員が新会派を結成。社民党など四会派と同調したが、本会議では自民案が可決された。定数減となる選挙区事情が大きいが、土壇場での「お家騒動」には驚く。

 県議会内部に残ったしこりは、宮崎市議会でも同様だ。4月からの地域コミュニティ税廃止を求める議員提出の条例案をめぐって一時紛糾。委員会では否決されたものの、依然として消えない市民の「疑問」にどう対応するか問われる。

 本県の桜開花は昨年より10日早く、観測史上最速を記録した。早産の末の開花を春嵐が散らしたらかなわない。この時期は東方から柔らかな東風こちも吹く。各地に異変を呼び起こす乱暴者の春嵐はやはり「招かれざる客」でいてもらいたい。


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